復興支援助成金

子どもたちにのびのび遊べる場を
あゆっこ応援団 復興支援助成先紹介 File 35

当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「あゆっこ応援団」の活動を紹介します。

“母親と子どもたちが笑顔で暮らせる場”づくり

岩手県陸前高田市の地域子育て支援センター『あゆっこ』は、鮎つりが楽しめる気仙川近くにありましたが、津波で流失。センターを利用していた母親グループが、あゆっこの再建と、子どもたちへの支援活動を応援しようと『あゆっこ応援団』を立ち上げました。

まず取り組んだのは、子どもたちが遊べる環境整備。具体的には、子どもの遊び場づくりに取り組み、今年は「冒険遊び場まきばっこ」を黒崎地区にオープンしました。

地元の地主の協力により、敷地面積は1万㎡を確保。設置された木製の遊具やかまどは、近隣のお父さんやお祖父さんによる手作りです。あゆっこ応援団の代表を務める村上あゆみさんは、「材料の木材を提供してくれる方もいらっしゃいました。かまどの土台には、地元の土を使用。外でのイベントの際は、かまどで炊いたご飯でおにぎりをにぎります。子どもたちも大喜びです」と話します。


村上あゆみ代表

「遊具の完成イベントでは、『子どもたちがのびのび遊べる場をつくってくれてありがとう』と、参加された父親から感謝されました。多くの子どもたちが震災後、仮設住宅と学校をスクールバスで往復しています。校庭には仮設住宅が建てられ、遊び場も少なくなり、運動不足になりがちです。『子どもたちが外で遊べるようになり、夜もぐっすり寝るようになりました』と声を掛けてもらったこともありました。これまでの苦労が報われ、活動してきたことは正しかった、とうれしくなりました」(村上さん)

遊具で夢中で遊ぶ子どもたち

仮設住宅へ移住後、母親たちのストレスが原因の一つと思われる家庭内暴力などの悩みが生まれてきていることがわかってきました。そこで、悩み相談の場を提供するため、あゆっこ応援団では「まきばっこハウス」を2012年11月に開設。オープニングイベントでは、近隣の方々が商品を持ち寄って、フリーマーケットを行いました。今後は、母親の悩み相談だけでなく、手芸やパンづくりの教室を行ったりもしていく予定です。

「まきばっこハウスでは、スタッフに子どもの面倒をみてもらうこともできます。その間に、母親は悩みを打ち明けることもできる。駆け込み寺のような場所にしていきたいと考えています。専門家の相談窓口も大切ですが、同じ立場、同じ目線で対話することで、少しでも気持ちが軽くなってくれればいいのですが」(村上さん)

オープニングには、東京のピザハウスが焼きがまを載せたトラックで駆けつけ、焼きたてピザを振る舞うサービスも行われました。また、青森県からは十和田乗馬倶楽部も応援に駆けつけてくれました。


オープニングにはピザサービスと、乗馬倶楽部が応援にきた

「私たちが住んでいる場所は、核家族は少なく、3世代、4世代がいっしょにうまく暮らしています。また都会にはない、豊かな自然に恵まれています。私もここで子どもを育てていきたいと思っていますし、仲間と“母親と子どもたちが笑顔で暮らせる場”をつくっていきたい」(村上さん)

希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。あゆっこ応援団の活動は続きます。

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