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復興支援助成金
子どもに笑顔が戻れば、大人たちも笑顔になる
特定非営利活動法人 ピアサポートネットしぶや
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「ピアサポートネットしぶや」の活動を紹介します。
被災地の中から立ち上がる若い力を支援
ピアサポートネットしぶやの主な活動は、不登校や引きこもりなどの問題を抱える15歳以上の若者とその家族のサポート。サポートを受けていた青少年から、「被災地の支援をしたい」という声が上がり、何をすべきか、何ができるかを協議。「岩手県大槌町の避難所で大人に混ざって被災者の支援をする子どもたちの記事を新聞で見て、会いに行きました」と相川良子理事長は当時を振り返ります。
「子どもたちは大災害で動揺し、将来に大きな不安を抱えていました。加えて避難所や仮設住宅に移ったことで、これまでのコミュニティがなくなっていました。被災地の中から立ち上がる若い力と、外からの支援の力で、1日も早く元気を取り戻して欲しいと考え、卒業して5年もすると、地元のリーダーに成長し得る高校生を支援の主なターゲットにすることにしました」(相川さん)
避難所で活躍していた高校生の一人は進学に悩みましたが、水道工事会社への就職を選びました。「毎日が充実しています」と時折連絡が入るそうです。ある高校生は、経済的な事情から退学を余儀なくされ、地元の民宿に就職しました。高校の英語教師を目指し、受験勉強中の高校生もいます。みな、さまざまですが、「一度、大槌を出ることがあっても、やがては戻ってきて地元に尽くしてくれることを期待しています」と相川さんは話します。
相川良子理事長と石川隆博さん
ピアサポートネットしぶやでは日ごろ、東京・渋谷区からの要請で、同区内の高校生の授業をサポートしています。事務局の石川隆博さんは被災地支援担当となり、炊き出しなどを行った体験を広尾高校で講義。それを聞いた生徒たちが、夏休みや冬休みにボランティアに参加するようになりました。このボランティアツアーでは、仮設住宅で交流会や郷土料理教室を開いたり、ツリーハウス造りを手伝ったり、町の人たちとのふれあいを大切にしています。
大槌町は役所が被災し、幹部の多くが亡くなり、行政機能の回復が遅れました。そこで他のNPOや行政関係者にも入ってもらい、『ネットワーク会議』を設立。長期的な支援のための情報交換の場として活用する一方、「地元にサポーターを育てることが重要。私たちのノウハウを学んでもらい、地元で活動してもらいたいと思っています」と石川さんは語ります。
今年の11月には、ゲーム開発ソフトの使用方法を地元の高校生たちに指導するため、大学生をはじめとしたボランティアチームが入りました。参加した青山学院大学の伊藤一成准教授は、「コンピュータゲームが大人と子どもをつなぐコミュニケーションツールになる時代。都会も地方も関係なく、世代を超えて受け入れてもらえるはずです」と話します。
ゲーム開発ソフトの使用方法を地元の高校生たちに指導する様子
「被災した子どもたちの悩みは、遊び場がなくなり、居場所がなくなったこと。まず、ここを充実させることが一番です。行政が動き出すのを待つのではなく、とにかくまず、やれるところから進めていきます」と相川さん。石川さんは、「大槌を何とかしたいと思う子どもたちが増えてきました。彼ら、彼女らの思いを潰さないよう、いっしょに考えていきたい。子どもに笑顔が戻れば、大人たちも笑顔になる。子どもたちが笑顔になるような場を提供していきます」と今後の抱負を語ります。
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。ピアサポートネットしぶや の活動は続きます。