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復興支援助成金
被災者へきめ細やかな対応を
特定非営利活動法人 @リアスNPOサポートセンター
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「@リアスNPOサポートセンター」の活動を紹介します。
被災者の居場所『みんなの家・かだって』をオープン
@(アットマーク)リアスNPOサポートセンターは、震災前から岩手県釜石市の委託を受けて情報広場の運営など、街づくりに取り組んできました。震災後、さまざまなNGO・NPOなどが支援活動を展開するなか、自らも動き出そうと昨年3月20日から活動を再開しました。川原康信事務局長は、「これまで取り組んできた活動の延長線上に、自分たちの役割がはっきり見えていましたので、早く動き出すことができました」と振り返ります。
昨年8月から地域コミュニティ再生、今年2月からは被災者就労支援や仮設住宅支援連絡員の委託事業が増え、震災前は6名だったスタッフが110名にまで増加しました。
「震災当時は、瓦礫や汚泥処理、避難所支援など、要望に統一感がありましたが、現在は個別に対応する支援が増えてきています。きめ細やかな対応が求められ、人手が必要になっています。各仮設住宅には、連絡員を配置しています。阪神・淡路や中越での災害時には、復興団地へ移転してからさらなる支援が必要になったと伺っています。釜石市の仮設住宅の見守りスタッフや、社会福祉協議会の生活支援相談員の方と役割分担し、連携を図って支援を行っていきたいと思います」(川原さん)
4月には、建築家・難波和彦さんとはりゅうウッドスタジオ、日本大学浦部研究室が設計し、福島県の建設業者の施工により釜石市に寄贈された建物を活用して、『インターネットdeかだって』を釜石市との協働でオープン。遊び場がなくなってしまった、大勢の子供たちにも広く利用されています。
6月には、釜石の被災者の居場所となるよう『みんなの家・かだって』をオープン。東日本大震災の復興に向け、建築家の伊東豊雄さんの呼びかけによって立ち上げられた「帰心の会」(メンバーはいずれも建築家の山本理顕さん、内藤廣さん、隈研吾さん、妹島和世さん)から寄贈されたものです。地域の方々に家具製作の協力を仰いだり、仮設住宅の人たちも壁塗りなどの作業に参加。完成後はお茶会やミニコンサートなどさまざまなイベントに利用されています。寄附されたピアノが置かれ、誰でも利用できるようにしています。海外でも活躍されている有名アーティストが、コンサートを実施してくれることもあります。事務局の横澤京子さんは、「思いがけない再会を果たすことができました」と語ります。
川原康信事務局長と横澤京子さん
「支援活動の開始当初、車で30分ほどの漁村に物資を届けていました。そこには難を逃れた1軒に、20人ほどが避難していました。体調を崩し入院される方もいらして、その後を心配していたのですが、偶然みんなの家のイベントに奥様が参加されていたのです。今は仮設住宅に落ち着き、入院していたご主人も退院されたと伺い安心しました。当時を思い出し、お互いに涙をこぼして再会を喜びました」(横澤さん)
最後に、今後の抱負を川原さんに聞きました。
「外部の震災関連の学会に参加した時のこと。被災地の状況をどこまで理解されているかわからない専門家が報告しているのを目の当たりにし、被災地から参加した私には不思議な感じを覚えました。神戸の方からも、阪神・淡路の経験が今回の震災対応に活かされていないという意見を聞いています。万が一再び震災が起きた時、今回の経験を活かしてもらえるよう、また一方でまだまだ支援が必要であることを外に向けて発信していくことも私たちの役割だと思っています。復興までは長い時間がかかります。いかにして気持ちを萎えないようにするかが課題。支援する私たちが希望を失わないことも大切です」(川原さん)
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。@リアスNPOサポートセンターの活動は続きます。
事務所内の様子