- HOME
- 復興支援助成金
- 助成先紹介|2012年度
- 南町柏崎青年会
復興支援助成金
避難所暮らしから立ち上げた復興商店街
南町柏崎青年会
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「南町柏崎青年会」の活動を紹介します。
商売を再び始めたいという意欲を支える
宮城県気仙沼市南町・柏崎地区は商店街を中心に、町の文化を形成してきました。しかし震災の津波によって、地区内全ての店舗・住宅が被災。甚大な被害を受けました。南町商店街の被災者は、地区の紫会館へ避難。不自由な避難生活を過ごす中、商売を再び始めたいという意欲のある店主が集まり、中小企業基盤整備機構の制度を利用し、商店街をつくる計画が進められました。南町柏崎青年会も、この計画をバックアップすることにしました。
南町柏崎青年会の坂本正人会長は、歯科技工士の仕事を休職し、商店街の復興に立ち上がりました。阪神・淡路大震災からの復興経験を聞きに、神戸にも勉強に。「とにかく、“お金を掛けるな”というアドバイスをいただきました」と坂本さんは話します。
「アドバイスにしたがい、青年会では、他県のNPOや知人を通じて物資を集めることから始めました。店舗も初めは、コロッケと下着を売る移動店舗からスタート。そのころは避難所で支援を受けていたので、被災者が商売をすること自体が非難されることもありました」
坂本正人会長
当初、仮設商店街の創設に乗り出したのは10店舗の店主。南町柏崎青年会は、冷蔵庫とテーブルや椅子を提供、また内装工事をサポート。作業が進むにしたがい、仮設商店街と言えども、カウンターは固定式にする、水道は3カ所必要、厨房の内装は吸収性のクロスは使えないなど、保健所の許可を取得するにはさまざまな条件があることがわかりました。
「支援し過ぎると、各店舗からさらに大きな期待や要求が起こり、やってもらうことが当たり前になってしまう。商店街の健全な自立した経営のためにも、どこまで支援するかが難しいところでした。商店街の店舗づくりには、東大の学生ボランティアが毎週通い、手伝ってくれました。寒い中、店舗周りのペンキ塗りをしてくれたことも。棟ごとに色を変えたのは学生さんのアイディアでした」
さまざまな店主の要望に応え、問題を解決しつつ、商店街はようやく昨年のクリスマスイブにオープン。その後、店舗も徐々に増え、現在では54店舗にまで拡大しています。
町民が戻るその日まで
南町柏崎青年会は数多くのイベントを企画し商店街の活性化を図っています。
『気仙沼Tシャツアート展2012』の様子
その一つが夏祭り。予想以上の数の子どもたちが集まり、太鼓の演奏やステージショーなど、子どもたちも喜ぶイベントが賑やかに開催されました。10月6日には、『気仙沼Tシャツアート展2012』が開催され、たくさんのTシャツが商店街に飾られました。
これはカツオの一本釣り漁で深い縁のある、高知県黒潮町の「Tシャツアート展」を気仙沼で開催したもの。商店街に隣接する場所に、空き店舗を活用してつくられた子どものための集会所では、三陸映画祭の一環として、子ども向けの映画も上映されました。
商店街の活性化のため、観光業界にも積極的に働きかけた結果、観光バスが商店街に立ち寄るようにもなったと言います。
「仮設商店街の寿命は、長くても5年。できることなら、ここに入っている店舗がそろって同じ場所で商店街をつくれれば良いと思っています。できれば、この南町で復活したいですね。しかし一方で、この仮設商店街を最後にリタイアすると明言している高齢の店主もいます。ちょっと寂しいですが、費用負担を考えるとやむを得ません。今は大勢の観光客が商店街に来てくれていますが、いつまで続くかわからない。長期的に考えれば、南町の住民が戻ってきて、この商店街を活性化していただきたい。それが夢です」
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。南町柏崎青年会の活動は続きます。