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復興支援助成金
緊急医療支援から心のケアまで
特定非営利活動法人アムダ
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「アムダ」の活動を紹介します。
思いきり感情を発散できるイベントを企画していきたい
1979年、カンボジア難民支援のため医学生2名を含む日本人3名が、タイ・カンボジア国境の難民キャンプを訪問。それを契機に、アジア医学生国際会議やアジア医師国際会議を開催し、相互扶助の理念に基づくグローバルネットワークを推進するためアムダは設立されました。
佐々木賀奈子さん
アムダは震災後すぐに、医師と看護師を被災地に派遣し、医薬品を提供するなど、緊急医療支援を行ってきました。アムダで震災翌月の4月から活動している佐々木賀奈子さんは鍼灸師。開業していた鍼灸院を津波で流されました。自らも被災しているにもかかわらず震災直後から、避難所や個人宅に治療に出かけ、アムダでも活動するようになりました。佐々木さんは、「避難所では共通カルテがなく、患者が複数の医療機関から重複してクスリを処方されることが問題になりました。アムダでは医師・看護師が朝夕にミーティングを行い、事故防止に努めました」と当時の様子を振り返ります。
この2月には、アムダも協力し、岩手県大槌町に『大槌健康サポートセンター』が設立されました。また大槌、釜石、南三陸の中学校のサッカー部員を、アムダ本部がある岡山県に招聘し、交流試合を行ったり、この3月には、大槌高校吹奏楽部が広島と岡山で行った「絆コンサート」をサポートしました。
プロジェクトオフィサーを務める大久保彩乃さんは、昨年8月、アムダのアレンジで被災地を訪れた岡山からのボランティアを、地元町民として大槌を案内。このことが、アムダで活動するきっかけとなりました。現在は、佐々木さんらといっしょに被災者を対象にしたイベントを企画しています。
大久保彩乃さん
大槌健康サポートセンターでは、鍼灸治療や、健康支援の一環として体操教室、音楽療法、手芸教室、手作りパン講座などを実施しています。「引きこもりがちな男性も参加できるような室内ゲートボールや囲碁・将棋なども企画していきたいと思っています。仮設住宅では大きな声を出すことができません。この健康サポートセンターで泣いたり笑ったり、思いっきり感情を出せる場所として、たくさんの方に利用して頂きたいのです」と大久保さんは話します。
大槌健康サポートセンターは手狭になったため、移転して拡張することを計画中です。
「被災者が仮設住宅から移転する動きが出てきた一方で、仮設住宅に取り残されることの焦りも出始めています。特に高齢者には、仮設住宅で人生の終末期を迎えることへの抵抗感が少なくありません。医療だけではなく、心のケアが強く求められるようになってきました。アムダでは、魅力あるイベントを考え、多くの方に参加していただきたいと思っています。またなかなか復興の進まない大槌の状況を、情報発信していきたいと考えています」(大久保さん)
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。アムダの活動は続きます。
大槌健康サポートセンター外観と体操教室の様子