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復興支援助成金
被災者のための健康寿命延伸教室
公益財団法人 日本股関節研究振興財団
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「日本股関節研究振興財団」の活動を紹介します。
仮設住宅の高齢者は運動不足になりがち
日本股関節研究振興財団は昨年、関係者が被災地で診療にあたるなど、個人ベースでの支援活動を行ってきましたが、今年に入り、財団全体として何かできることがないか検討。仮設住宅に入居する高齢者が、運動不足によってエコノミークラス症候群やロコモティブシンドローム*を発症する危険が高まっているという情報を受け、これまで毎年、首都圏で実施していた講演と運動の実技を行うシンポジウムを被災地用にアレンジし、健康教室「被災者のための健康寿命延伸教室」を宮城県多賀城市で実施しました。
*ロコモティブシンドロームは、骨、関節、筋肉といった運動器の機能が加齢とともに衰え、「立つ」、「歩く」といった動作が困難となり、「要介護」や「寝たきり」になる、またはそのリスクが高い状態を指します
「被災者のための健康寿命延伸教室」に対し、多賀城市と名取市が仮設住宅の住民への呼びかけに協力。10月7日当日、高齢者を中心に約400名が参加しました。
特別講演に先立ち、骨密度測定と心のお化粧と題したミニ講演会が開催されました。また、講演会場前ではハンドマッサージやメイクアドバイス、フィットネス用品や健康グッズの展示も行われました。
骨密度測定には、女性を中心に多くの人が集まりました。測定を終えた70歳の女性は、実年齢平均の120%と診断され、「若い人と同じ骨密度と言われました。毎日歩いている効果があったかもしれません」と嬉しそうに話していました。
骨密度測定には早い時間から多くの女性が集まった
股関節は健康の要
特別講演では、地元の仙塩利府病院の宮坂芳典整形外科部長が『エコノミークラス症候群』について、精神保健福祉士である藤沢病院の石井千恵企画調査室長は『心のケア』について、日本股関節研究振興財団の別府諸兄理事長は『ロコモティブシンドローム』についてプレゼンテーションを行いました。
運動指導では、健康運動指導士であるメディカルフィットネス研究所代表の太藻ゆみこ氏が襷バンドを使った体操を紹介。参加者といっしょにからだを動かしました。また、介護予防を目指した活動を実施している地元団体『多賀モリ会』が、ご当地体操を披露しました。
ご当地体操も披露された
プログラムを終え、大川晴久事務局長にお話をお聞きしました。
大川晴久事務局長
「被災地でのイベントは初めてでしたが、市や地元の協力があり、無事に終えることができました。多賀モリ会の方々からは、メンバーの中には被災した人も多かったのですが、ご当地体操を紹介する機会ができ、励みになると感謝されました。一般的に、股関節が健康の要になる関節であることが認識されていません。故障を起こしてから、ようやく気づく患者さんがほとんど。そんな背景もあってか、残念ながら国内の統計データが十分取れていないのが実情ですが、現在およそ10万人が人工股関節の手術を受けているとも言われています。一生自分の足で歩くためには、日ごろから自分のからだの状況を把握し、運動機能の低下を予防することが非常に重要です。講演と運動指導を組み合わせた健康教室を、被災地で広めていきたいと思っています」(大川さん)
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。日本股関節研究振興財団の活動は続きます。