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復興支援助成金
南三陸での子どもたちとのふれあい
UT-OAK震災救援団
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「UT-OAK震災救援団」の活動を紹介します。
かゆいところに手が届くような支援
UT-OAK震災救援団(以下、OAK)は、震災から1か月後の2011年4月、東京大学大学院で国際協力学を専攻する学生メンバーによって組織されました。会計・渉外・広報を担当する華井和代さんは、「博士課程に入学して、新入生のオリエンテーションに参加した時のこと。震災をテーマにしたワークショップで修士課程の新入生と意見交換をしているうちに、 “国内問題に対応できなくては国際問題は語れない”という意見で一致しました。そこで組織したのが、UT-OAK震災救援団です。名前のUT-OAKは東大柏キャンパスからとりました」と話します。
まずは自分たちに何ができるのかを議論。議論で出た案を実行するにあたっては、南三陸ですでに活動していた支援団体に協力するかたちで開始しました。避難所での炊き出しの手伝いから始め、やがて子どもたちの学習支援するようになりました。仮設住宅が建設されると、自治会の依頼を受けて仮設集会所での寺子屋を始めました。
「寺子屋を開くのは、夏休みと冬休み。久しぶりに寺子屋に行くと、子どもたちがメンバーの名前を呼んで迎えてくれます。待っていてくれたのだと思うと嬉しくなります」(華井さん)
代表の日向淳さんは、子どもたちとのエピソードを次のように話します。
日向淳代表と華井和代さん。皆勤賞の少年と共に
「昨年の夏休み、寺子屋に3週間連続で通った子どもがいました。初めは挨拶もしなかったのですが、徐々に雰囲気に慣れ、打ち解けた態度を示してくれるようになりました。最終日に、サプライズで皆勤賞の賞状を手渡すと予想した以上に感激してくれました。私たちを見送るため、校庭を全速力で走って車についてきてくれた姿には感激しました」(日向さん)
皆勤賞の子どもに毎日通った理由を聞いてみると、「大学生のみんなと過ごす時間が楽しかったから」ということでした。
現地の受け入れ窓口になっているのは、元避難所スタッフが運営している、仮設の共同食堂『さんさカフェ』です。カフェ・スタッフの内海明美さんは、OAKの活動について次のように評価しています。
『さんさカフェ』の内海明美さん
「OAKには私たちのカフェの立ち上げから協力してもらいました。避難所で活動していたころには、慣れない生活に苦労されていた面もありましたが、皆さん一生懸命でした。こちらの要望に柔軟に対応してくれ、まさにかゆいところに手が届くような支援を大変ありがたいと思っています」
現在、OAKの活動には学生ボランティア8名を核に、約30名が参加しています。現地の方の協力で宿泊施設などを提供いただいている一方で、活動資金は助成や寄付に頼らざるを得ないのが実情です。
「やがて中心メンバーが卒業してしまいます。活動が、私たち創設メンバーの思いを含め、後輩に継承されていくことを期待しています。復興の状況に合わせてきめ細やかな対応をしていくことで、被災地の方に喜ばれる活動を継続していきたいと思います」(華井さん)
最後に今後の抱負をお聞きすると、「ここで得られた人と人との絆を大切にしていきたいと思います。最近、中学校や高校、看護学校から講演の依頼があります。国際開発学会で被災地支援に関する研究発表をした時には、優秀ポスター奨励賞を受賞しました。活動を継続するとともに、活動から学んだことを情報発信していきたいと思います。被災地には今、たくさんの人が訪れています。子どもたちにとっても、さまざまな人に接するチャンス。多くの人と出会い、いろいろな人生を考え、夢を抱く一助にしてもらいたいと思います」と華井さん。日向さんは、「親が元気になると子どもたちも元気になる。親たちが一生懸命にまちづくりに取り組む姿を見て、子どもたちが南三陸を支える一員になることを期待しています」と語ります。
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。UT-OAK震災救援団の活動は続きます。
今年11月に行われた感謝祭イベントの様子。結婚式も行われた