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復興支援助成金
医療過疎地域でのリハビリマッサージ
たぶの木リハビリ・こころのネット
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「たぶの木リハビリ・こころのネット」の活動を紹介します。
ツイッターをきっかけに活動
たぶの木リハビリ・こころのネットは、昨年10月から岩手県大船渡市三陸町の仮設住宅で、住民の心身の機能低下や介護予防のため、リハビリマッサージや体操教室を開催しています。代表で社会福祉士の森本正子さんは、理学療法士や作業療法士のボランティアとともに仮設住宅を回り、月に1回のペースで活動を行っています。
三陸町は整形外科医が在籍する病院がなく、大きな町へ出るための主要な公共交通機関だった三陸鉄道が被災した結果、受診機会が限られる、医療過疎の地域に。大船渡出身の森本さんは震災前からもともと、釜石で引きこもりや精神疾患の方々の支援活動を実施していましたが、ご主人の転勤で活動を休止。震災を機に、仮設住宅の方々を支援したいという思いから活動を再開しました。
森本正子代表
「活動が再開できたのはツイッターによる“つぶやき”がきっかけ。県内外の理学療法士さんたちが反応してくれたのは、嬉しかったですね」(森本さん)
マッサージや体操で緊張状態をほぐす
仮設住宅に移ったことで歩く機会が減り、足腰が弱くなって転びやすくなるなどの症状が増えているそうです。また、自宅から避難所、仮設住宅への集団移転など、環境が次々と変わることで緊張状態が続いていることや、行方不明の方の発見など震災を想起させる出来事によって、鬱状態になる方々がいます。鬱だけではなく、やり場のない怒りが抑えられない症状となる方もいるそうです。
「マッサージや体操で身体の緊張状態をほぐすことで、症状が緩和される効果があります。月1回の治療は決して十分な頻度ではありませんが、継続することが大切だと思っています」(森本さん)
リハビリマッサージの告知とパンフ
仮設住宅の自治会や、地域の民政委員、生活支援員の方々も協力。活動を継続することで、地域や行政から信頼を得るようになってきました。毎月の活動日には、生活支援員の方も仮設住宅に足を運んで手伝ってくれると言います。震災後に立ち上げられた、理学療法士・作業療法士の『face to face~東日本大震災リハネットワーク』のメンバーも協力し、マッサージ治療のほか、体操教室では、ストレッチや肩こり軽減体操、音楽に合わせてリズム体操を行っています。
「ボランティアは若い方が多く、高齢者にもとても好評。若い方と身近で交流すると精神的にも若返るのかもしれませんね」(森本さん)
体操教室の様子
ある80歳代後半の男性は、毎月のリハビリマッサージを楽しみにしていて、治療前の朝早くに必ず一度、療法士さんたちの顔を見に会場を覗いていくそうです。また、ご主人が脳梗塞の後遺症、奥様は変形性関節症を患っている60歳代のご夫婦も毎回欠かさず足を運んでいるとのこと。なかなか外に出られないご主人ですが、リハビリマッサージが唯一の外出機会となっており、お二人から感謝されています。
「今後は三陸町の地域サポートセンターと連携し、町の主要地域で活動していく計画。かかわった地域の方々が、転んだことが原因で寝たきりになられたり、不幸な亡くなり方をして欲しくありません。ボランティア支援をあおぎながら、住民のみなさんが仮設住宅を出られるまで活動を続けていきたいと思っています」
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。たぶの木リハビリ・こころのネットの活動は続きます。