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復興支援助成金
長期的に高齢者を見守っていきたい
ボランティアステーションin気仙沼
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「ボランティアステーションin気仙沼」の活動を紹介します。
仮設住宅内の自治会づくりからスタート
『ボランティアステーションin気仙沼』は東日本大震災後、仮設住宅に避難していた菊田忠衛代表理事が中心となって発足しました。
菊田さんは昨年7月、40世帯が入る仮設住宅に移転。全く名前も顔も知らない人の集まりでぎくしゃくする中、自ら自治会長を買って出て仮設住宅内の自治会を組織しました。顔を合わせたら挨拶をする、ゴミ出しのルールを作るなど、小さなことから始め、風通しのよいコミュニティをつくっていきました。
次に、地域の他の仮設住宅と何か協力し合えないかと考え、70カ所の仮設住宅を訪問。その中で、仮設住宅に暮らす中で共通の問題や課題があることに気づきました。
「これらの問題を解決していくには母体となる組織が必要であると考え、立ち上げたのがボランティアステーションin気仙沼です」(菊田さん)
阪神・淡路大震災での経験を活かして被災者の支援をするため、神戸から高砂晴美さん(現副代表理事)が参画。神戸のまちづくりアドバイザーの協力を得ながら、住宅再建や災害公営住宅への移転が完了するまで、仮設住宅の方々の支援を続けていく計画です。
高砂晴美副代表理事(後列右端)
仮設住宅における共通の問題や、復興の進捗状況、住宅再建のための知識を学ぶため、「復興まちづくり勉強会」を実施。また、困っている問題や悩みなどをアンケート調査しています。住民の関心が高い被災地住宅再建に関しては、質問を取りまとめて自治体から公式な回答をいただき住民に提供しています。
震災から1年半が経過。仮設住宅の暮らしも少しずつ落ち着いてきました。ただし、住宅再建問題のみならず、これからの暮らしの経済的な見通し、子どもの教育や家族の引き取り、就職等々、結論を出すことを迫られる時期が来ています。相談相手を失っている人もあり、精神的につらい思いをする人が増え、専門家のアドバイスが求められています。
土と触れ合う「花プロジェクト」をスタート
この3月からは、70カ所の仮設住宅で花を栽培する「花プロジェクト」を開始。プロジェクトを始めてから、「仮設住宅の方々が変わってきた気がします」と菊田さんは話します。
「もともと庭を持っていたり、畑をしていたりと、自然に土と触れ合う暮らしをしてきた方が多いので、みなさん喜んで取り組んでくれています」(菊田さん)
仮設住宅にスペースがない場合は、プランターで栽培。プランターであっても、「土と触れ合える」と好評だそうです。
11月1日、気仙沼の駒場公園の仮設住宅で実施した、チューリップの球根の植栽の様子
支援の一方で、仮設住宅の人たちには自立を促していると言います。
「支援されることになれてしまい、震災前は自分でやっていたことができなくなっている人がいます。例えば仮設住宅の結露の問題にしても、自分で何か対策をこうじてみないで、苦情ばかり言う方も。まず自ら知識を学び、考え、実践してみることが大事だと思っているのですが」(菊田さん)
また、高砂さんは神戸での震災復興の経験から、外部からのボランティアに、「目的を持って現地を支援して欲しい」と話します。
「遠方からボランティアに来たものの、何をしてよいのかわからない人がいます。何かをしたいという気持ちは十分理解できますが、自己満足のためのボランティアでは、本当の支援にはなりません。何でもやってあげようというのでなく、現地の方を巻き込んでいっしょに行う姿勢が大事です」(高砂さん)
仮設住宅からの移転は、まだまだ時間がかかる見通し。仮設住宅での支援活動の継続には、資金的な基盤が求められる一方、「仮設住宅には高齢者が多く、今後、公営住宅へ移転したとしても、引きこもりが心配される。長期的に高齢者を見守っていく活動を続けていきたい」と、菊田さんは今後の抱負を語ります。
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。ボランティアステーションin気仙沼の活動は続きます。