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復興支援助成金
すべての人が尊厳を持って生きられる社会を
社会福祉法人あおぞら
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「あおぞら」の活動を紹介します。
『健常者も精神障がい者も、生きづらさはいっしょ』
あおぞらは、精神障がいや精神疾患などを持つ方を対象に、個人の尊厳を保持しつつ自立した生活を地域的に営むことができるよう、利用者の意向を尊重して多様性あるサービスを総合的に提供している社会福祉法人。仙台市若林区の事務所建物が震災で被害を受け、一時は閉鎖せざるをえない状況になりました。しかし、施設に通ってくる方や在宅者のサポートを止めるわけにはいかないとの思いから、「震災発生からしばらくは交通機関もありませんでしたが、自転車等で述べ84件の利用者の家を回りました」と松田尚嗣常務理事は語ります。
相談支援専門員の長岡千裕さんは、当時の様子を次のように振り返ります。
「避難所の方はまだ医療機関等のサポートを受けることができたので良かったんですが、在宅の方にまでは手が回っていませんでした。薬が切れてしまうことも心配で、近くの医療機関に協力して頂きました。松田常務と在宅者を訪問すると、驚いたことに3日も飲食をしていなかった人もいました」(長岡さん)
左から、松田尚嗣常務理事、長岡千裕さん、澤村弘事務局長
全国の同様の施設から支援の申し出があったそうですが、「短期間で担当者が代わることは、かえってわれわれの利用者を惑わすことになるため、お断りせざるをえませんでした」(松田さん)とのこと。「時間をかけて接することで信頼関係を築くことが大切です」と松田さんは語ります。
「精神障がいは見た目にはわかりません」と別の難しさを話すのは、澤村弘事務局長。必要な支援が見落とされてしまうこともあるところが、難しい点だと言います。
あおぞらの施設のフリースペースでは、利用者同士で自らの体験を話す場が設けられています。
「通ってきてくれながら、特に発言することなく黙ったままでいられる方は少なくはありません。しかし“心の元気づくり事業”を企画すると、継続して参加される方々がいます。続けて通われる中で、心に変容が起こってようやく感情を表に出せるようになるようです。それからは心が解放されるのか、自身のことを語りはじめるのです」(長岡さん)
こういったプログラムの成果を、岩手県の宮古など他の被災地でも展開することを計画しているそうです。
一方で、国の制度が変わり、あおぞらのような施設も自立運営が求められるようになってきました。現在は、利用者が製造したシューマイを販売したり、喫茶店を経営。大事な収入源になっていると言います。また利用者の描いた絵を販売。画商の仕事をしていた松田さんの指導で、才能が引き出されている方もいらっしゃるそうです。
あおぞらが経営する『喫茶もぐもぐ』と、あおぞらの利用者の描いた絵
「精神障がいには、波があるなど、さまざま症状があります。ありのままを受け入れる社会が必要です」と松田さん。長岡さんは、「健常者も障がい者も、生きづらさはいっしょ。障がい者と健常者の垣根を越え、お互いの関わりの中で生き方の選択肢を増やすことが大切だと思います」と話します。
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。あおぞらの活動は続きます。
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