復興支援助成金

できないことができるようになる喜び
認定NPO法人 BHNテレコム支援協議会 復興支援助成先紹介 File 30

当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「BHNテレコム支援協議会」の活動を紹介します。

被災者向けのパソコン教室

BHNテレコム支援協議会は、人道支援と国際貢献の立場に立ち、情報通信産業の関係者が自ら培った技術・ノウハウを活かし、開発途上国のBHN(ベーシック・ヒューマン・ニーズ)達成に向けた自助努力を支援する目的で設立されました。開発支援、情報通信関連の人材育成、災害緊急支援を海外で行ってきましたが、震災後、国内での活動を初めて開始しました。

今回の震災では、通信インフラも大きな被害を受けました。そこで震災発生当初から、岩手県沿岸部被災4市2町で避難所やNPO、医療関係者などの活動拠点にインターネット環境の提供、コミュニティ放送局の修復、臨時災害放送局(FM局)の開設、飯舘村被災者支援情報ネットワーク提供支援を実施。仮設住宅の建設後は、パソコン教室を開いています。

今年8月からは、石巻専修大学と共同で、被災者を対象にしたパソコン教室『石巻専修大学ICTオープンカレッジ』を開催。ソフトはマイクロソフト、パソコン及びセキュリティソフトはシマンテックが提供し、NTTデータの社員ボランティアが毎週4名ずつ交代で指導補助をしています。プロジェクトオフィサーの山崎孝子さんは、「参加者の中には就職が決まった方も。ある仮設住宅の自治組織からは、ブログを立ち上げて集会所から情報発信していきたいと、さらに協力を求められています。被災者自らがPCを利用した活動が広がっています」と語ります。

プロジェクトオフィサーの山崎孝子さん(後列右から二人目)

被災者の就業問題を解決するために始めた活動でしたが、「高齢者の趣味を通じたネットワークづくりや新たな生きがい発見にも活用していただけると感じています」と山崎さんは語ります。

「男性の引きこもりが特に問題視されていますが、PCならば高齢の男性にも受け入れやすいのではと期待しています。生きがいを見つけてもらうきっかけにして欲しいと思っています。初めは講習についてこられるか心配でしたが、参加者のほとんどが続いています。参加者の中には、避難所のPCが操作できず、情報が取れなくて悔しい思いをしたことがきっかけで参加されている方も。家計簿をつけたい、養殖業のデータベースをつくりたいと、具体的な目標を持っている方もいらっしゃり、志気は高いです」(山崎さん)

講習会の様子

講師を務める阿部真司宮城事務所所長は、南三陸町で釣具店を経営していましたが被災しました。マイクロソフトの研修を受け、BHNの講師を務めるようになりました。

「講師を務めるうちに自分自身が自立してきたように感じています。物を与えるだけでなく、何かを人に与えることができ、自分が必要とされていると感じることで、自立に向かわせるのではないかと感じます」(阿部さん)

被災当時は仙台の高校に通っていた阿部さんの息子さんも現在はBHNの活動に参加しています。


阿部真司宮城事務所所長(右端)

「参加者のスキルアップのため、今後予定している講座では、参加者に講師の補助を務めてもらおうと思っています」と山崎さん。阿部さんは「できないと思っていたことができるようになるのは喜び。PCを楽しんでいただくのが一番です」と今後の抱負を語ります。

希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。BHNテレコム支援協議会の活動は続きます。

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