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復興支援助成金
被災者の夢をかなえられる新しい街づくり
一般社団法人 おらが大槌夢広場
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「おらが大槌夢広場」の活動を紹介します。
地元住民の声を活かし、いっしょに街づくりに取り組む
臂徹事務局長
おらが大槌夢広場の事務局長を務める臂徹さんは、震災後、建設コンサルタント会社で岩手県大槌町の調査と、復興計画を立案するサポート業務に従事していました。仕事で大槌に常駐している時、新しい街づくりに取り組みたいと考えている地元の住民のみなさんといっしょに、おらが大槌夢広場を立ち上げました。
昨年7月に活動を開始し、11月に法人化。大槌に支援に訪れる方々へのおもてなしと、大槌の将来を自由に語り合える場として、また雇用機会を提供できる場所として、『おらが大槌復興食堂』の運営を始めました。震災後、町で初めての事業として復興の象徴的存在になり、隣接して新設された、震災に関する資料を集めた「復興館」とともに、町内外の人々の“交差点”の役割を担っています。
『おらが大槌復興食堂』外観と、店内の様子
「大槌に来て10年目になりますが、主婦である私がこれほど多くの方とのかかわりをもてたのは初めて。“おらが”の活動のおかげです」と話すのは、阿部智子理事。一つ一つの経験が勉強になると感じていると言います。
阿部智子理事
「大槌の人は、物作りが上手。こうした気質を、産業復興に結びつけるサポートをしていきたいと思っています。ありがたいことに、今は外から、物資だけではなく多くの知恵も頂いています。これは一つの大きなチャンス。支援いただいている、いろいろな知恵や技術で化学反応を起こし、従来の街の復旧にとどめず、新しい街づくりに活かしていきたいと考えています」(阿部さん)
「街づくりには住民の声を反映していくことが何よりも大切」と考えた臂さんは、大槌町内に、さまざまなセクターが意見交換を行う場をつくる必要があると考えており、行政といっしょに、“フューチャーセンター”をその受け皿として発展させていくことを計画しています。
そのほか、おらが大槌夢広場のユニークな取り組みとしてあげられるのは、こども議会。20~25名の女子高校生を集めたこども議会を毎月実施し、大槌の復興に向けて自分たちにできることを議論しているそうです。
「年頃の女性ですから、やはり一番の関心はおしゃれやファッションのこと。H&Mが大槌に欲しい、といった要望が出ることもありました。それを聞きつけた都会のアパレル関係者が、ガールズコレクションに招待してくれました。一時の喜びに終わるのではなく、その経験で可能性が広がって、夢が持てることに、目を輝かせていたのが印象的でした。被災地の状況は、現在の日本の縮図とも言えます。地方都市と都会との新たなつながりが生まれるモデルケースとして、全国に広まることを期待しています」(臂さん)
おらが大槌夢広場では、若者への支援として、起業家の育成にも取り組んでいます。現在17名いるスタッフのうち、来年は8名が独立する予定です。
「私たちは場を提供しているだけ。いずれは大槌の人が自分たちで動き出し、運営していけるようになるまでサポートを続けていきたいと思います」と臂さんが語る一方で、阿部さんは「自分には、もともと大槌にこんなところがあったら良いなとか、震災後はこんな町になったらいいのにという、いろいろな想いがありました。誰にでも“想い=夢”があると思います。みなさんの夢をともにかなえられる街づくりを実現させていきたいと思います」と今後の抱負を語ります。
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。おらが大槌夢広場の活動は続きます。