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復興支援助成金
市民に愛される『気仙沼ホルモン』の普及
気仙沼復興支援グループ
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「気仙沼復興支援グループ」の活動を紹介します。
全国からの応援は、復興への原動力
震災後、地元の市会議員や漁業関係者、郵便局員、ヘルパー、寿司職人など、さまざまな職業のおよそ20名が集まり、昨年7月から、震災を風化させないために写真展を開催し、気仙沼名物の一つである『気仙沼ホルモン』を普及させる活動を開始しました。
小野寺克弘代表
当初は写真展開催と気仙沼ホルモンの普及が、別々のメンバーによって動き出しましたが、「気仙沼復興支援グループ」を組織し、今は共同で実施しています。小野寺克弘代表は、「全国からの応援は、復興していくための原動力になります。震災が風化しないよう、まずは写真展を開催することを考えました。また気仙沼は、漁業の町。水産加工を普及させることが一番ですが、復興への条件が整うまでには時間がかかります。今すぐ始められることは何かということで、気仙沼市民にとってのソウルフードとも言える『気仙沼ホルモン』で町の復興をしようと考えました」と話します。
写真展や気仙沼ホルモンの試食会には、各地の知人が応援に駆け付けてくれています。
「リクエストは多いのですが、メンバーが全員仕事をもっているので、お声掛け頂いても各地のイベントに参加できないところが悩ましいところです」(小野寺さん)
写真展は、広島や尾道、島根の浜田、千葉の八千代や君津、埼玉の行田など全国で開かれ、また韓国でも行われました。大学祭から依頼がくることもあるそうです。昨年は震災直後の写真100点あまりを展示していましたが、今年に入り「復興の状態を知りたい」と、同じ場所の現在の様子を撮影した写真をリクエストされることも増えてきたと言います。震災直後と現在の写真を比べて見てもらうことで、復興が進んでいない状況が良く理解されるようになりました。
「震災前の写真も見てみたいというリクエストを頂くことも。しかし震災前は、建物の倒壊を想定して写真を撮ることはしませんよね。撮っていたとしても、被害が大きかった場所は、震災で写真も津波で流されてしまっています」と小野寺さんは残念そうに語ります。
仮設住宅の被災者からの言葉
気仙沼ホルモン同好会の佐藤健治会長
「何もなくなってしまうと、元がどうなっていたのかわからなくなります。もともと何もなかったかのような錯覚に陥ってします。それが風化です」と話すのは、気仙沼ホルモン同好会の佐藤健治会長。
気仙沼復興支援グループと気仙沼ホルモン同好会は、今年10月、気仙沼市内の仮設住宅6ヵ所で気仙沼ホルモンや秋刀魚を提供するバーベキューイベントを実施しました。気仙沼ホルモンは煙と臭いがあるので、一般的には家庭の庭先で、家族と賑やかに食べるのが楽しみにされています。参加者からは、「仮設住宅では煙と臭いが気になって、なかなか食べられないから、久しぶりにうれしかった」と声を掛けられました。これまで市の外へ、外へと普及することに専念していたメンバーでしたが、被災者にも喜んでもらえることに気づかされ、気仙沼でも活動する契機になりました。
『気仙沼ホルモン』を紹介するパンフレット
「気仙沼ホルモンは豚の内臓をにんにく味噌で炒め、キャベツとウスターソースを一緒に食べるのが特徴。B級グルメブームで、新しいメニューが各地で考案されていますが、気仙沼ホルモンはブームに乗った新しいものでは決してありません。気仙沼市民が、子どものころから親しんでいる歴史ある郷土料理です。各地で行われる食の大会などを利用し、全国的に知名度を高めていきたいと考えています。今年7月には、寿司のチェーン店とのコラボレーションを試みました。他の食材と気仙沼ホルモンをうまく結び付けて普及させることも検討していきたい。写真展も震災を風化させないために継続していきます」(小野寺さん)
希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。気仙沼復興支援グループの活動は続きます。