復興支援助成金

一人でも多くの地域の人の力に
田老元気なまちづくりプロジェクト実行委員会 復興支援助成先紹介 File 12

当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「田老元気なまちづくりプロジェクト実行委員会」の活動を紹介します。

必要な物を、必要な量、必要な場所へ

田老元気なまちづくりプロジェクト実行委員会は、「岩手県田老地区を元気なまちにしたい」という思いを抱いたメンバーが集まった任意団体。避難所を共にしたメンバーのほか、市役所勤務や盛岡在住の方々なども参加しています。

「避難所にたくさんの支援物資が供給される中、避難所のニーズのアンバランスから、物資が飽和状態になってしまうこともありました。また、支援に慣れてしまうことで、被災者が自立しにくくなる状況も問題に。そこで「必要な物を、必要な場所へ、必要な量だけ供給する仕組みをつくろうと活動を開始しました」と中心的活動メンバーの一人である、松本篤子さんは話します。


松本篤子さん

「支援は大変ありがたいのですが、東京と岩手県の宮古では感覚が違います。例えば、被災地は寒いと報道されると、スキーウェアがたくさん送られてきましたが、宮古では着る機会がありません。セーターがちょうどいいんです。たくさんのおもちゃが提供され、子どもたちの勉強時間が奪われるということもありました。せっかくの支援物資が使えなかったり、生活のリズムを崩したりすることがたくさんあったのです」

自らの手で問題を解決していくために

田老元気なまちづくりプロジェクト実行委員会では、仮設住宅の住民らを対象にした情報紙『明日に向かって』を発行する一方で、住民の要望を実現するために、住民同士をつなぐ、住民のできることをつなぐ活動を行っています。

「被災地にあるスクールゾーンが暗く、子どもたちや地域の方々から灯りの要望がありました。この時には、子どもたちの足元を照らそうと“エコ&ライトアップチャレンジ”プロジェクトを実施。幸い農水省の補助金でソーラーライト500基を設置できました。設置工事には大勢の中学生や住民も参加してくれたんですよ。自らの手で問題解決できた活動になったと、とてもうれしく思いました」

また近隣の町で行われた『まちづくり養成講座』に参加した際には、田老地区の新しいまちづくりには“まちづくりコーディネーター”が必要であることを実感。田老地区でも同じ講座を実施することにしました。

「町の自治会は壊滅状態。新しいまちづくりは、自分たちの手で実施しなければなりません。まちづくりコーディネーターには、話を聞く能力、判断する能力、情報発信をする能力、必要なアクションを取れる能力が必要。養成講座ではまず、地域の良い部分の見つけ方を学ぶところからスタートします。まちづくりの計画づくりや合意形成の図り方、さまざまなジャンルを超えて協働を行っていく場合に必要なテクニックを学ぶのです」


田老元気なまちづくりプロジェクト実行委員会が入る建物外観と受講案内

田老元気なまちづくりプロジェクト実行委員会ではこのほか、田老の良さを学ぶ“田老ちいき学”や、震災前からあった過疎の問題を、成功事例のある新潟県に学ぶスタディツアーを計画しています。

「仮設住宅に入居していない“在宅被災者”の方々は、被災していても十分な支援が届いていません。この方々にも仮設住宅の方と区別なく支援をしていきたいと思っています。仮設住宅に住む人たちと在宅被災者の交流を進め、まとまりのある地域社会をつくっていきたいと考えています。それから問題なのが男女差。女性は自然に外に出られる方が多いのですが、男性は引きこもる傾向があり心配です。仮設団地内にも、気楽にお酒を楽しめるような場があるとよいのですが。とにかく先のことが見えないために不安を抱えている方々が大勢いらっしゃいます。一人でも多くの方の力になりたいと思っています」

希望を失った人、失いそうな人たちへ、希望を。田老元気なまちづくりプロジェクト実行委員会の活動は続きます。

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