復興支援助成金

建築専門家の視点で
住民ニーズに応える
一般社団法人アーキエイド

Focus29

当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「アーキエイド」事務局広報担当の金森絵美さんに、活動を始めたきっかけやこれまでの活動内容、今後の抱負などについて聞きました。

東日本大震災の被災地・被災者への復興活動を開始した理由、きっかけを教えてください。

アーキエイドは、仙台の大学の建築学科の先生方が全国の建築家に復興支援を呼び掛けて立ち上げた組織です。2011年4月より活動を開始し、海外の建築家を含めて現在303名の賛同者がいます。私は震災後、復興支援に携わりたいと考えていたところ、以前働いていた建築事務所の先輩から声が掛かり、アーキエイドの事務局に入りました。

これまでどんな活動をされてきたのですか。

2011年の7月、『サマーキャンプ「半島“へ”出よ」』と称して5日間、15大学の建築家及び学生およそ120名が、牡鹿半島に30ヵ所ある「浜」と呼ばれる集落の地域住民の方々にヒアリング調査しました。そのヒアリングの結果をまとめて報告書を作り、行政のまちづくりに活かしてもらうために石巻市に提案しました。同ヒアリング結果を住民の方にもわかるようにまとめた冊子はホームページでも公開しています。2012年度は、28の浜で同様のヒアリング調査を実施しました。
2013年度は9つの浜で、それぞれの課題解決のためミニキャンプを実施しました。神社の修繕や民家のリノベーション、地蔵堂の建設など建築に関連したもののみならず、盆踊りの運営などさまざまです。中でも異色なのが、桃浦の『牡鹿漁師学校』。これはプロジェクトの中心になっている先生が、桃浦地域の温かさ、住民の人間力に魅了されて支援しているものです。浜を離れていく人が多い中、漁業の担い手を育てるために『桃浦浜づくり実行委員会』を住民が立ち上げ、漁師学校を開催しました。私たちは運営サポーターとして漁師学校の事務局を担当し、ホームページやメディアを通して20代から60代までの15名の参加者を募ることができました。漁師希望者だけでなく、水産学校の学生、釣りの愛好家とさまざまな方が集まりました。3日間の研修終了後、参加者の一人はそのまま桃浦に移住し、漁師を始めています。
これまでの活動は、積極的に情報発信しています。次世代の方々が東日本大震災の経験を活かし、今後起こりうる災害に的確に対応して頂くための情報アーカイブを立ち上げています。

被災地の変化をどのように感じていますか。

牡鹿半島では、現在の行政の仕組みではなかなか解決できない課題が山積しています。私たちは地域のニーズを引き出すため、まずは住民の方々との信頼関係をつくるところから始めました。初めは瓦礫撤去などの活動が主だった被災地支援も、行政の復旧・復興作業が進むにつれ、土木や漁港整備など専門知識が必要な支援に移行していきました。私たちは建築の専門家として、空間や景観を考える視点から高台移転の住居プランなどを提案しています。模型をつくり、住民の方々にもイメージが湧くようにしました。私たちが住居のことを考えるようになると、住民の方々は観光などさらに先のことを考えるようになってきました。

ご苦労されている点は?

牡鹿半島に戻ってきたい人は大勢いますが、今のところは建築制限が掛かり、建物が建てられないのが実状です。心が痛みます。

今後の活動予定や抱負を聞かせてください。自分たちの活動を通じて、被災地や被災者へ、どんな“希望”を与えたいとお考えですか。

お蔭様で海外からの支援も頂き、中長期で継続して活動していく予定です。
アーキエイドの代表的な開発プロジェクトの1つである「コアハウス-牡鹿半島のための地域再生最小限住宅板倉の家-」が、2013年度グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)を受賞しました。伝統的な漁師住宅の研究から始め、必要最小限の間取りを「コアハウス」として建設し、それを徐々に拡大していくというものです。牡鹿半島の漁村の桃浦に、復興住宅のモデルハウスとして建設されました。今後、被災者の方々が仮設住宅から本格的な住宅の建設へ移行する段階になると思います。被災者の早期生活再建に取り組み、自立した地域再生の力となるよう地域に密着した活動を行っていきたいと思います。
アーキエイドの活動は多岐にわたりますが、浜に入り住民の方々と密な繋がりをつくり、住民のニーズを引き出しながら活動してきたことが、住民の方々の期待に応える結果になっているのだと思います。この経験やノウハウを今後の災害対策に活かして頂けるようにしていきたいとも思っています。

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