3年間で10店舗の新規開設を目指して
当財団と株式会社ラポールヘア・グループ(本社:宮城県石巻市 以下、ラポールヘア)は11月22日、出資に関する契約を締結しました。 東日本大震災の被害が最も大きかった地域の一つである石巻では、200店舗以上の美容室が被災によって休業に追い込まれ、数多くの美容師の方々が職を失いました。この現状を打開するため、被災地域の美容師に再び働く場を提供しようというラポールヘアの取組みに対して、当財団から4,000万円の資金支援を行います。地域の活性化や雇用創出、地域住民の方々の生活安定につながる事業を、より力強く推進することを目的としたものです。ラポールヘアは、この資金を新規出店資金として活用し、今後3年間に被災した沿岸地域において、これまでの既存店に加え、合計10店舗の開設を目指します。
「復興支援美容室事業」を目的に
ラポールヘアは、東日本大震災において津波による被害を受けた美容室経営者や美容師の雇用促進・維持、および独立支援を図る「復興支援美容室事業」を目的に、昨年7月に宮城県石巻市で設立されました。3か月後の10月、石巻市内に1号店をオープン。今年12月には当財団の出資をもとに、仙台コロナワールド店をグランドオープンし、現在までに計4店舗を展開しています。
ラポールヘアの特徴の一つは、美容師を正社員として雇用せず、個人事業主として業務委託契約する点です。日本の美容師免許保有者はおよそ100万人で、実際に従事しているのは40万人と言われています。30歳を過ぎ子供を抱える多くの既婚女性は、朝から夜遅くまで拘束され、土日も仕事するのは厳しく、特に地方はその傾向が強いのが現状です。しかし被災地では夫が職を失い、働かなければならなくなった女性も少なくありません。そこでラポールヘアでは、正社員の立場が逆に足かせにならないように配慮した契約形態としました。
各店舗は、来店されるお客様にとっての地域コミュニティの団欒の場となることを目指します。キッズルーム(託児室)を併設し、小さなお子様を抱えたお客様の利便性を図ると同時に、美容室スタッフが子育てしながら安心して働くことのできる環境を整えています。これにより、ラポールヘアで働く美容師の6割の人たちが子育てをしながら働いています。
当財団は今回、被災された理美容師の方の雇用促進・維持の活動につながる復興支援美容室事業を後押しするため、支援協力することを決めました。今後も、地元の金融機関等と協働しながら、被災地域における事業再生、雇用創出、そして産業復興につながるプロジェクトに協力し、復興支援を継続していきます。