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復興支援助成金
放射線量の推移データを収集・公開
スペースウェザー協会
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「スペースウェザー協会」の運営委員の上泉義朗さんに、活動を始めたきっかけやこれまでの活動内容、今後の抱負などについて聞きました。
東日本大震災の被災地・被災者への復興支援活動を開始した理由、きっかけを教えてください。
当協会の設立母体の一つである星槎グループは、東日本大震災直後から支援物資の供給を始め、その後は子どもたちの教育支援活動などを行っています。もう一つの設立母体である九州大学では、太陽活動観測のための地磁気を世界中で測定し、インターネットで公開、さまざまな国、地域の研究機関や研究者に貴重なデータとして活用されています。
被災地支援のためにスペースウェザー協会として何ができるかを考えたとき、九州大学がもつ太陽の地磁気観測技術とデータ送信システムを活用して、福島第一原子力発電所事故による放射線量を測定しようと思いました。放射線汚染の時間的推移や、天候による変化がどのようになっているのかなど、客観的なデータはあればあるほど役に立つはずです。避難している方々がいずれ自分の家に戻ることを考えるための参考情報の一つになればという思いで開始しました。
これまでどんな活動をされてきたのですか。
震災6ヵ月後から、福島県浪江町内に放射線量計設置の準備を始めました。町役場からのご協力も頂き、徐々に設置作業を進めてきました。現在9ヵ所に放射線量計を設置しています。機器設置場所からは無線ルーターを利用し、インターネットでデータを見ることができます。データは当初からの提携先である九州大学のサーバーに保管しています。1メートルの空間放射線量で、測定開始時には5マイクロシーベルトだった数値が3に落ちている地区の例なども出てきています。
データはインターネットを通じて公開していますが、ただ残念なことにWiFi通信の不都合があり、一部のデータしか公開できていません。
ご苦労されたのはどんな点ですか。被災者の言葉など、印象に残っていることは?
行政との委託業務契約などはなく、あくまでもボランティア活動として行っていますので、資金や人集めは常に大変です。
被災者とお話しする中で、農業を営んでいた高齢者の娘さんから、「自分の父は、仮設住宅住まいとなった。生きがいだった農業ができなくなり、仮設住宅内の草刈りを毎朝している」という話を聞きました。ご高齢ではあっても健康で幸せな生活をしていた人が、なぜこのように生きがいを奪われなければならなかったのだろうかと絶句する思いでした。
今後の活動予定や抱負を聞かせてください。自分たちの活動を通じて、被災地や被災者へ、どんな“希望”を与えたいとお考えですか。
継続して、放射線量計の設置を行っていきます。国や県、大学などでも放射線量のモニタリングは行っていますが、今後長期にわたってできるだけ多くの線量推移データが必要になると思います。少しでも補完できるようなデータとなり得るように、地元自治体と相談しながら設置場所を選定していきます。当面は浪江町と飯舘村への設置を急ぐ考えです。
原子力発電所事故による放射線汚染の情報はできるだけ多く、かつ継続的に長期にわたって必要だと思います。今後、原子力発電の継続可否を判断するためにもこれらの情報は不可欠です。天候による変化、時間的推移、除染の効果など、放射線量に関する情報をできるだけ多く被災者に届け、自分の住んでいた家、地域の真実の姿を知るための判断材料の一つとして活用して頂けることを願っています。