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復興支援助成金
困窮家庭向けの
学習支援、生活支援
アスイク
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「アスイク」の大橋雄介代表理事に、活動を始めたきっかけやこれまでの活動内容、今後の抱負などについて聞きました。
どのような活動をされてきたのですか。
震災から2年半が過ぎて、被災者の状況に格差が生じています。経済的に困難な一人親の家庭は厳しい状況が続いています。仙台では災害公営住宅への移転は平成26年度には完了する予定になっています。移転後は家賃がかかることになり、経済的負担が増し生活保護に頼らざるを得ない家庭もあります。
今年から仙台市と協働で、困窮家庭を対象に、『放課後学習サポートプログラム』を始めました。生活困窮者自立支援法の施行を前に、仙台市が実施しているモデルプログラムです。アスイクでは学習支援に参加する子どもたちの保護者に、必要に応じてパーソナルサポートの紹介を行っています。パーソナルサポートセンターでは、ハローワークを通じてだけでは就労が難しい方々を対象に、社会とのつながりを持つプログラムを提供しています。
仮設住宅での学習サポートも継続して実施しています。22教室で生徒数は約170名、サポーターも120名登録されています。継続した被災者への支援活動が評価され、今年3月には厚生労働大臣から感謝状を頂きました。
通常の学習サポートに加え、月1回程度、特別プログラムも行っています。10月27日からは4回にわたり、「復興アントレプレナー小売店の起業に挑戦!」を実施。バークレー証券とNPO法人の放課後NPOアフタースクールの協力で実施しているものです。仮想会社を起こし、商品を仕入れ販売までを企画し、POPや看板を制作し、実際に東京のアークヒルズマルシェで販売する体験学習プログラムを実施しています。約20名の子供たちが参加しています。
このプログラムでは社会人としてのイメージを身につけることがねらい。生活保護を受けている家庭では、徐々に働かなくても生活できることに慣れてしまい教育熱が下がる傾向にあります。負の連鎖を断ち切るためにも、収入を得て生活をする社会の仕組みを体験し理解して欲しいと思います。
また、学びの場を広げるため、地域住民やNPOへアスイクに学習支援モデルを提供。
e-learningを使い、子どもたちに目標設定をコーチングしていくノウハウを提供しています。これまでに11団体に提供し、岩手県や福島県にも広がっています。
ご苦労されたのはどんな点ですか。被災者の言葉など、印象に残っていることは?
子どもが問題を抱えていても、保護者の問題意識が薄かったり、そもそも会えないような場合には、専門的な支援につなぐことも難しいということもあります。いくら専門的な支援組織があっても、そこにうまくつなぐことができなければ意味がないですが、そのために必要な努力やスキルは、想像以上に大きいと実感しています。
あるとき、おとなしい中学生の女生徒がめずらしく話しかけてきました。「NPOはどうやってつくるのか」という質問でした。彼女は家庭内暴力の被害者で、母親と二人で仮設住宅に暮らしています。ソーシャルワーカーからの紹介で教室に通うようになりました。初めは教室に来ても話もできませんでした。NPOの活動に支えられた経験から、NPOの活動に興味を持ち、将来は支える側になりたいということでした。ある日、教室の入口を開けるとありがとうのメッセージとともに置物が置いておいてありました。手芸が得意な子で、彼女からの手作りのプレゼントでした。とてもうれしく感じました。
今後の活動予定や抱負を聞かせてください。自分たちの活動を通じて、被災地や被災者へ、どんな“希望”を与えたいとお考えですか。
仮設住宅からの移転が進むにつれ、困窮家庭の孤立が懸念されます。仙台市やパーソナルサポートセンター、みやぎ生協と協働で実施している、生活保護や児童扶養手当を受けている家庭向けの学習支援と生活支援を併せたプログラムを推進していきます。今年は太白区のみ対象でしたが、次年度からは対象を拡大する予定です。子どもたちには学習サポートを、保護者の方には就労支援や家計支援を行っていきます。