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復興支援助成金
手づくり布ぞうり『narahato』で
被災者の自立を支援
ならは盛り上げ隊
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「ならは盛り上げ隊」の藤井将さんに、活動を始めたきっかけやこれまでの活動内容、今後の抱負などについて聞きました。
東日本大震災の被災地・被災者への復興活動を開始した理由、きっかけを教えてください。
ボランティア活動としては、プライベートで「地域の子育てボランティア」をここ10年ほど続けてきました。またこの10年来、籍を置く制作会社を通じ、生活協同組合(生協)のブランディングにマネージャーとして関わり、公私にわたって「市民主体の地域コミュニティデザイン」に取り組んできました。3.11は「自分たちの暮らしを自分たちで考える」ということを突きつけられた事象だったと思っています。当初はボランティア活動を「困った被災者・被災地のために力になりたい」という衝動で始めましたが、次第に「普遍的な社会問題を解決するための一つの“実験”」の位置づけとして考えるようになりました。経済的な疲弊、少子高齢化など、「地域コミュニティの再生」は震災前から取り組まなければならなかった課題だったのです。活動を始めると「動けば動くほど人と出会う」ことの連続で、ネットワークが広がりながら、活動の幅も深さも進化してきました。
これまでどんな活動をされてきたのですか。
福島県会津地方に避難中の楢葉町住民が暮らす仮設住宅コミュニティの活性化活動を行っています。具体的には、イベントを開催したり、カフェを運営したりする一方、布ぞうりづくりによる自立支援プログラムを実施。手づくりの布ぞうりは、『narahato』と名づけ、商品開発から商品デザイン、販路拡大のための営業活動、イベントブース出店による販促など、ブランディング全般をサポートし、被災者の自立を支援しています。
2012年9月~2013年5月には、首都圏に避難中の福島の母子へ、月に一回のサロン開催による各種ワークショップ活動を行いました。また福島県中通りへ避難中の浪江町住民へは仮設図書館をつくり、岩手県釜石市の児童館では、支援イベントとしてアニメ映画の上映会を行いました。
被災地の現状をどのように感じていますか?
時間の経過に伴い、被災者以外の方々が被災地を見る眼差しは忘却に向かっています。しかし楢葉町民は一方で、脱原発について冷静な視点を持ち続けています。そこに希望があり、その希望を少しずつ具体化していくための活動をこれからも継続する意義があると思っています。
福島では、地域コミュニティや家族の「分断」が加速しています。多様な方々に対する「受け皿」を市民レベルで設計していかないといけない段階です。一人ひとり、一つひとつの課題に寄り添えるかどうか。それが「再生」を果たせるかどうかの試金石となると考えます。
ご苦労されたのはどんな点ですか。被災者の言葉など、印象に残っていることは?
一番の課題は、対峙する被災者の方々とのコミュニケーションです。支援側の論理とねらいは必ずしも「支援される側の方々」のそれと一致しているわけではありません。協働する支援団体とは常に情報交換しています。各々の団体は、人材面、費用面など何らかのリスクを抱えながら活動を継続しているので、ちょっとしたミスが致命的になる可能性もあります。一つの関連団体が活動できなくなると、他の団体の活動もドミノ倒し的に頓挫する危険性があるのです。
今後の活動予定や抱負を聞かせてください。自分たちの活動を通じて、被災地や被災者へ、どんな“希望”を与えたいとお考えですか。
手づくり布ぞうりのブランディングを通じた被災者自立支援プロフラムによって、被災者の方々が自立し、自律できるようサポート活動を事業化していきたいと思っています。自分たちの持つ強みを活用しながら、「支え合い」の関係性を、被災した人と被災しなかった人の区別なく構築していきたいと考えています。
被災者が町へ帰還した後も、高齢化やインフラ不整備の問題に直面します。手づくり布ぞうりプログラムをはじめ、事業化した支援活動や、衣食住のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を損なわない町づくりに関わっていきたい。そのモデル化に関わっていきたいと考えています。町づくり、コミュニティづくりには「継続性」と「住民主体」が重要です。その一助となる活動を、自治体とも協働しながら展開していきたいと思っています。