復興支援助成金

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暮らしやすい地域社会づくりへ
くらしのサポーターズ

Focus11

当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「くらしのサポーターズ」の吉田直美副理事長に、活動を始めたきっかけやこれまでの活動内容、今後の抱負などについて聞きました。

活動は3年目になります。被災地の現状と、一昨年、昨年との違いは?

震災1年目は生きていくことに精いっぱい、2年目、3年目は停滞している印象です。仮設住宅からの移転にはまだ時間がかかりそうですから、あと数年はこの状況が続くと思います。私たちは被災者の相談を受けてきましたが、相談件数は年々増えています。スタッフが増え、私たちの活動が広く認知されてきたこともありますが、相談者そのものの人数が増えていることも確かです。相談者は20代から高齢者まで広がっています。
その背景には、復興が進まずにストレスがたまり、対人トラブルが増えていることが挙げられます。対人トラブルも家庭内と外に分けられ、家庭の中ではDV、経済的虐待、子どもの引きこもり、不登校など。家の外では、職場のいじめ、近隣とのトラブルなどが挙げられます。ゴミの出し方や、植木の枝が伸びているといった、平常時であれば気にならないことに対しても過敏になっていて、トラブルの原因になっています。義捐金や支援金を使い果たし、生活に不安を持つ人も増えています。

そのような変化に合わせ、どんな活動をされているのですか?

相談者に共通しているのは、“孤立” している点。これまでは担当者が相談者に個別に寄り添ってきましたが、それだけでは根本的な解決にはなりません。個別相談による対症療法に加え、中長期的な観点からの暮らしやすい地域社会づくりが必要です。
今年の初めから、相談者が互いに支え合う関係づくりを始めました。具体的には、月に一度“あすくら友の会”を開催。毎回7、8人が参加しています。相談者は人間関係づくりが苦手な方も多いのですが、楽しみに通ってくる方もいて、想像以上の反響です。
それから、暮らしやすい地域社会づくりとして、山田町で“食”をテーマに、“山田の「食べる」を楽しむ会”を開催。山田町は学校給食がなく、事情により弁当作りができずに子どもにお金を渡して済ませる家庭もあります。家庭料理をほとんど食べていない子どももいます。イベントでは山田町の食材で郷土弁当作りをしたりしています。将来的には地域の食に関する課題を解決し、その可能性を伸ばすことを目的に、“食のセンター”をつくり、郷土弁当を高齢の独居者に提供したり、社会的弱者がそこで活躍できるような事業につながることも想定しています。
昭和30年代ぐらいから、賃金労働が一般化し、助け合いをベースにしたコミュニティーが失われました。その頃までの暮らしにヒントがあると考え、80歳以上の方を対象に聞き書きを始めています。一定程度の自給自足を進め、衣食住にかかる現金支出を抑えることが、暮らしやすさにつながるかもしれません。そうなると、自分一人だけで生きていくのではなく、自然と共助によって暮らすライフスタイルになります。自分ができることをして、自分も共助の役割を担う。よりよく幸せに生きていくには、経済的な自立はもちろん、社会の一員として居場所と役割があり、社会に求められていることを実感できるなど、精神的側面が満たされていることが必要です。具体的には、宮古市に新しい生き方を実際の生活で実践する「あすくら・ハウス」を作り、モデルを示したいと考えています。静岡の木の花ファミリーや三重のアズワンコミュニティ鈴鹿など、先進事例を紹介するセミナーも予定しています。美しい故郷の風景と、自然の摂理に従った多様性のある豊かな暮らし、誰もが優しく暮らせる理想郷。宮澤賢治が提唱した理想郷「イーハトーブ」も、そんな暮らしなのではないかと思います。

ご苦労されている点は。被災者の言葉などで、印象に残っていることは?

マンパワー不足です。生活困難者の相談に応じることは、誰でもできることではありません。人材をOJTなどで育てていく必要があります。
被災者の中には、一般就労がすぐには難しい方もいて、ステップアップできるように支援しています。40代で引きこもり、精神障害、自傷行為があり、母親の年金に頼った生活をしていた方が就職したのですが、職場になじめず、すぐに辞めてしまいました。私たちの支援が功を奏し、その後、水産加工の会社に再就職できました。その後も相談室でフォローしています。彼の「あすくらの支援がなかったら、自分は今頃死んでいたかもしれない」との言葉が印象的でした。

今後の活動予定や抱負を聞かせてください。自分たちの活動を通じて、被災地や被災者へ、どんな“希望”を与えたいとお考えですか。

人の支援に関し、行政の手が回らない部分を私たちの活動で補っていると考えていますが、まだ不十分。私たちが支援対象としている相談者は、例えば障がいや目に見えない生きづらさなど、さまざまな事情を抱え、生活力が低くなっている人たちが多く、この層への支援は特に手薄です。
私たちの機能は、病院のような面もあると思います。病院がなくなったら、病気になったときのことを考えて不安に駆られます。仮設住宅に住む高齢者の中には、今は不安ではないけれど、5年後の生活を不安に感じている方も少なくありません。そういった方には、5年後のことも私たちが家族のように一緒に考えますよ、と安心してもらいます。
幸せに生きていくために必要なのは、衣食住が安定していること、社会の中に役割があること、家族や仲間がいて一人ではないということです。支援を通じて私たちが、孤立している人の「家族」や「友達」にもなっているのです。
今後は生活困窮者自立支援法が成立すれば、国の事業として生活困難者への支援が福祉事務所単位で始まる見通しです。国の施策と連携しながら、支援活動を継続していきます。

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