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復興支援助成金
誰もが行きたい所に、
行きたい時に行ける社会
移動支援Rera
当財団は、被災地の復旧・復興支援活動を行うNPOや社会福祉協議会などへの助成金制度を実施しています。助成先の一つ、「移動支援Rera」の村島弘子代表に、活動を始めたきっかけやこれまでの活動内容、今後の抱負などについて聞きました。
東日本大震災の被災地・被災者への復興活動を開始した理由、きっかけを教えてください。
北海道の障がい者支援団体「ホップ障害者地域生活支援センター」(ホップ)は札幌で障がい者や高齢者の福祉有償運送支援を行っています。ホップは福祉車輌を使い、石巻で被災者の移動支援を実施していたのですが、私たちはこの活動を引き継ぎました。ホップは災害があると真っ先に障がい者支援に駆け付ける団体の一つ。東日本大震災では、3月15日には石巻に入りました。私自身は震災の時は千葉にいたのですが、震災をきっかけに被災地支援を決意し、受け入れ先を探していたところホップに出会い、2011年4月から1年間、ボランティアでお手伝いをしました。その後、ホップが北海道のスタッフを長期間常駐させるのは難しいこともあり、私が引き継ぐことにしました。2013年の2月にNPO法人の認可を受け、私が代表に就任。Reraはアイヌ語で「風」という意味です。
これまでどんな活動をされてきたのですか。
震災後1年ほどは、石巻専修大学でボランティア団体の全体会が開催され、Reraは移送を担当していました。病院の送迎がメインですが、それ以外の用途はだんだん変化。初めは避難所からの買い物、自衛隊のお風呂までの送迎、一人で入浴できない方には介助付きで送迎しました。震災の年の6、7月ごろになると、火葬場が復旧。仮埋葬していた方々のお葬式や火葬場までの移送依頼が増えました。また、避難所から仮設住宅への移転が始まり、移送する機会が多くなりました。8月のお盆を迎える頃には、仮設住宅からの依頼が増え、お墓参りを頼まれることが増えました。現在8名で運営していますが、朝出て夕方まで事務所に戻れないこともあるほどです。1日当たり70名から多い時は100名、1カ月当たりでは平均延べ1,600名が利用しています。現在の用途は通院が8割以上で、利用者の8割は障がい者と高齢者です。
ご苦労されたのはどんな点ですか。被災者の言葉など、特に印象に残っていることは?
実費は利用者負担ですが、ガソリン代の高騰に追い付かないのが実情。車の維持費負担も大変で、今年は県から補助金を頂き、ようやく6名を雇用することができました。
利用者はそもそも高齢だったり障がいを持っていたりと社会的な弱者。長い間利用され、家族のように親しくなっていた方がお亡くなりになると寂しさを感じます。反対に「Reraのおかげで病院に通えて元気になった」と感謝されると、活動していて良かったと思えます。
たまに乗り合いになることがあるのですが、たまたま車の中で知り合いと顔を合わせ、「生きてたのぉ」とお互いに無事を確かめ合う姿も見られます。利用者から震災の体験談を聞き、ドライバーが一緒に泣きながら走ることもあります。
気を使うのは、公共交通機関とのすみ分け。利用者は公共交通機関を利用できない方が基本で、タクシー協会にも理解いただいています。
昨年、石巻市の行政、社会福祉協議会、タクシー協会、仮設住宅自治連合会、仮設住宅支援団体、障がい者支援団体などが集まり、移動支援連絡会を開催して、石巻の交通に関する課題にどう取り組んでいくかを話し合いました。私たちが交通案内マップをつくることになり、現在取り組み中。仮設大原団地は約500世帯が住む大きな団地ですが、ここをモデルに住民が利用できる公共交通案内マップをつくり、他にも展開していきたいと考えています。
今後の活動予定や抱負を聞かせてください。自分たちの活動を通じて、被災地や被災者へ、どんな“希望”を与えたいとお考えですか。
石巻は、震災前から障がい者や高齢者の移送については問題があった地域。今後も取り組みを続けていきます。石巻地域で、障がい者や高齢者のみならず、対象を歩行の大変な方や不便な仮設住宅の方などにも広げて、福祉有償運送を始めたいと考えています。現在、制度や特例について調べているところ。事業化して、継続した運営ができる仕組みをつくっていきたいと思っています。どんな所にも、公共交通機関を利用できない移動困難者がいらっしゃいます。誰もが行きたい所に、行きたい時に行ける社会をつくっていきたいと思います。
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